住宅ローン破綻しないために ~「事前審査しませんか?」の落とし穴~
2018.08.29
先日 来店されたお客様の話。
その方は新築をご検討なのですが、予算を、土地と建物あわせて4800万円で考えている、とのこと。
「住宅ローンの事前審査も〇〇銀行で通ってるから大丈夫です」とおっしゃいます。
聞けば、他の住宅会社さんで土地を紹介され、そこに建物費用と諸費用を
あわせた金額で事前審査を金融機関に出して、その審査が通ったというのです。
その方は年収が600万円ほどで自動車関連の会社にお勤め。奥様も会社員。お子様は3才の子が一人。
リキューの家に興味をもって来店してくださったのですが、私は建物の話の前に、
「4800万円というのは、どこから算出した数字ですか?」と聞きました。すると、
「そこの住宅屋さんに、『建物2600万・土地1700万・諸経費500万円 合計4800万円で事前審査を出しましょう。
それが通ればその金額が借りられます』といわれた」 と。 で、事前審査を出したら数日後、金融機関から「承認」の回答。
これ、住宅予算を決める上では、いちばんやってはいけないパターン=住宅ローン破綻するリスクを高める予算の決め方=です。
(4800万円がダメという意味ではありません。予算を決めるプロセスが間違っている、ということです)
住宅予算というのは、住宅購入を検討している多くの方が考えている事でしょう。3000万?4000万?
でもそれって何を根拠に出した金額でしょうか。住宅屋さんに言われたから? 銀行屋さんに言われたから??
住宅屋は高い家を買ってくれたほうがもうかります。不動産屋は高い土地を買ってくれたほうが仲介手数料をたくさん受け取れます。銀行はたくさんお金を借りてくれたほうが、たくさん利息をつけて返してもらえるからもうかります。(銀行には“返済比率” によって貸せる上限が決められていますが、それは年収(しかも手取りではなく総支給)から算出した額でしかありません)
一般的に、住宅屋も不動産屋も、高い金額で「銀行の事前審査」を出させて、お客さんに「借りられる=この物件が買える」と思わせ、大きな借金をさせる道すじをつくっていくのです。 (事前審査というのは怖い効果があって、銀行から「融資承認」の回答を得るとなぜか社会に認められたような錯覚を起こしてしまうことがあります。で、気持ちが大きくなってそのまま借りてしまう・・・)
本来、住宅予算は住宅屋が決めるものではなく、不動産屋でもなく、銀行屋が決めるものではありません。購入する本人が決めるものなのです。
でも、どうやって?
簡単です。 家計簿をつけてください。つけていなくても、月々の生活費くらいはざっくりでもわかるはずです。その月々の生活費は、イコール=「その家庭の生活水準」になるはずです。その生活水準でもって、住宅ローンを払いながら、子供を育てながら、死ぬまでやっていけるかどうかを、まずは把握するのが住宅予算を決める第一歩です。(だって ウン千万の買い物をするんですから)
決して「事前審査をやりましょう」が第一歩ではありません。そこにあなたの家計は反映されません。(反映されるのは年収くらいです)
家計簿はつけたけど、肝心な住宅予算をどのように出したらいいかわからないという方は、リキューの資金相談会(ご予約にて開催中)をご利用ください。リキューで建てるかどうかは関係ありません。まずは、ご自分にとっての「適正予算」を把握してください。
住宅ローン破綻をしないために・・・。
(日本住宅金融普及協会公認・住宅ローンアドバイザー)
そんなかんたんに書いちゃダメです。事前審査。