ふだんよく通る蒲郡の道路にもたくさんあった。【土砂災害警戒区域】と【土砂災害特別警戒区域】
2020.02.09
「せめて違う時間に通っていたら…」
神奈川県逗子で起きた土砂崩れ事故。
時間は巻き戻せませんが、そう思わずにいられません。
命の犠牲に年齢は関係ありませんが、18才という若さがその思いを一層強くさせます。
報道でご存知の方も多いかと思いますが、事故が起きた現場は「土砂災害警戒区域」に指定されていた場所とのこと。
(土砂災害警戒区域とは、「土砂災害区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」が根拠となり、都道府県が指定します)
しかし、報道によれば、事故が起きるまで このがけの危険性を感じていた近隣住民は多くはないようでした。
それもそのはずです。
土砂災害警戒区域は、仮に指定されたとしても行政は何の強制力もなく、「土砂災害が起きるかもしれないから気を付けてくださいね」程度のものなのです。実質的な警戒行動や措置は何も求めていません。ハザードマップに記載して周知をはかるくらいです。 (なので、このたびの事故現場は普通に歩道があったし、バスも通っていました)
土砂災害警戒区域のほかに「土砂災害特別警戒区域」というものが、同法を根拠として存在します。こちらは土砂災害警戒区域とは違い、行政の強制力がはたらきます。具体的には、建築物の構造への規制や既存建築物に対する移転勧告など。(強制力があるとはいえ、家を建てちゃダメとか、この道は通っちゃダメとかの「何かを禁止する」ほどの強制力はありません)
この 土砂災害警戒区域も土砂災害特別警戒区域も、実は身近にたくさんあります。
しかも土砂災害だから山深いところに多い、というわけではなく、住宅地の中やそのすぐ近くにあります。
蒲郡市域はもともと平地が少なく、昭和30~40年代にかけて山を切りひらいて住宅地が造成されたところが多くあります。切りひらいた住宅地そのものは平たく(あるいは日常生活に支障ない程度の起伏)なっていますが、その隅の方は、ガケがひときわ急な斜面となって表れているところも珍しくありません。
逗子の事故後、私もあらためて地元の土砂災害ハザードマップを見てみました。
それまでは「住宅地にも警戒区域はあるんだな。お客さんともしそんな話になったら情報を共有しよう」という程度にしか思っていませんでした。
しかし、今回の事故は「日常の道路で」「通行中」におきました。
土砂災害は家などの建物をつぶすだけではないという、当たり前のことを、はたと気づかされました。
蒲郡市の「洪水・土砂災害ハザードマップ」をみると、私がふだんよく通る蒲郡市内の県道西浦深溝線には、その沿線に「土砂災害警戒区域」が数百メートルにわたって指定されていました。その一部は「特別警戒区域」になっている所があることも今回初めて知りました。
他にも、国道23号バイパスの蒲郡西インター付近や、国道247号線の一部、またオレンジロード縁辺にも警戒区域や特別警戒区域が指定されていました。これらの道路は私が仕事でよく通っている道路。(これを読んで下さっている方の中にも「よく通る」という方は多いのではないでしょうか)
そんな中にも災害の危険性があることがわかったのです。
同法の所轄官庁である国土交通省のホームページによれば、土砂災害には「前兆」があるとのこと。山鳴りがしたり、小石がパラパラ落ちてきたり、斜面から水が噴き出てたり、斜面にひび割れができていたり、することが前兆にあたるそうです。
災害は避けようがないのかもしれませんが、知っておくだけでも何かの役に立つのかもしれません。
■洪水・土砂災害ハザードマップ(蒲郡市)
https://www.city.gamagori.lg.jp/unit/bosai/kouzuidosyasaigaihazardmap.html
■土砂災害ハザードマップ(西尾市)
http://www.city.nishio.aichi.jp/index.cfm/6,3244,71,351,html
■愛知県土砂災害情報マップ(上記の両市以外にも愛知県全域が見られます)
http://sabomaps.pref.aichi.jp/portal/showmap.php
市町村がホームページに掲載しているハザードマップは、拡大すると画像が粗くなり見えにくくなる場合がありますが、「愛知県土砂災害情報マップ」は拡大しても画像が鮮明でなおかつ航空写真からも確認ができるので、「うちは大丈夫か?」「ここの土地はどうだ?」などと知りたいときに見やすいと思います。