『断熱性能をそんなに上げる必要はないですよ。だってここはそんなに寒くなる地域じゃないですし』は本当か。
2019.08.01
暑いですね。
先日、あるお客様が他社さんでこんなことを言われたそうです。
「断熱性能が北海道レベル??そんなに断熱性能上げる必要ないですよ。だってここ愛知県は冬でもそんなに寒くないですし、この地域で一般的な断熱をすればじゅうぶんですよ」と。
私はこれを聞いて正直悲しくなりました。住宅にかんしてさほど知識のない方が言うのならまだしも、このような認識をする住宅屋がいるかぎり、日本の住宅の寿命は短いままだなと。残念ながら。
そもそも住宅に「断熱」が求められるのは、建物外の暑さ寒さが建物内部に影響を与えにくくするためです。ではなぜ暑さ寒さを建物内部に影響しにくくすることが必要なのでしょうか。それは温度差を生じにくくするためです。温度差があると結露(けつろ)※ を生じさせる原因になります。その結露が住宅の部材を腐らせたり劣化を早めたりします。断熱性能が高い低いの差は、結露を生じさせるリスクが高いか低いかを表します。
断熱をするのは、暑さ寒さをしのぐため以上に、家を長持ちさせるためにほかなりません。
※結露(ウィキペディア)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%90%E9%9C%B2
↓結露がもたらす建物内部の腐食
…ということを、住宅屋であれば知っているはず。とりわけ木造の住宅を扱っている住宅屋であれば。(北海道ほど寒くない…そんことは一般の方も分かりきっているでしょうし、私からすれば消費者をバカにした言い方であるとしか言いようがありません)
弊社リキューは何も「うちは断熱性能が北海道レベルです」と喧伝しているわけではありません。
弊社の直近30棟の断熱値の平均(UA値=外皮平均熱還流率)は0.46※。これがたまたま北海道で長期優良住宅を建てる場合の断熱基準値であるというだけです。
※単位はw/㎡・k
日本の住宅寿命は30年~40年といわれています。
これに対して欧米の住宅寿命は50年~80年とも。もちろん日本と欧米では自然環境や社会環境が違うのでこの数字だけで「日本の住宅の寿命が短い」とは決められません。ただ少なくとも、30~40年ほどしか持たない日本の住宅の多くは、上述した「結露」がその寿命を短くしているという事実を、住宅屋であれば常識として持っているはずです。
↓住宅の寿命の国際比較を示すグラフ
でも、「住宅は長持ちしなくてはならいもの」というのは偏った考え方なのかもしれませんね。なぜなら「長持ちする住宅」がいいのか「そこそこ持ってくれればいい住宅でいいのか」を選択するのは消費者さんですから。
弊社リキューは前者を良しとする考えであるにすぎません。