大人の不注意によって子供の命が失われないために ~大阪の地震から~
2018.06.20
まずこの場を借りて、6月18日に発生した大阪府北部地震において亡くなられた方のご冥福をお祈りします。また被災された方に、お見舞い申し上げます。
今回の地震において最も悲しいのは、小4の女の子がブロック塀の下敷きになり亡くなったことと感じているのは私だけではないと思います。そのブロック塀が建築基準法に適合していない違法状態であったと聞けばなおやりきれない思いがこみ上げてきます。地元の大人たちは何をやっていたのだろう。建築や築造物の構造を多少わかる人間だって高槻にもいるんだろうから、そのブロック塀がひょっとしたら危ないんじゃないかと気づく人はいなかったんだろうか、、しかも学校という、子供だけじゃない、みんなが集う場所の一角だというのに・・・と。
でもそんなことを言ったって命が返ってくるわけではありません。その子の死を無駄にしないためにも、まずは私の、小6になる娘の通学路や日常通る道を、昨日、たどってみたところです。
私は縁あって建築業に携わっていますが、業種がら、地震への備えや知識と無縁ではいられません。商談中のお客様からも、建物の耐震性や、土地の地盤のことなどについてよくご質問を頂きます。とくに耐震性については、気にしないお客様はまずいません。たとえば耐震等級3というのが日本の現行制度上、最も耐震性が高いとうことは、多くのお客様が知っています。 しかし、その耐震等級3にも二通りの耐震等級3(①簡易壁量計算でのそれ②構造計算によるそれ)があり、それによって実質耐震性が違うことをお伝えすると、多くの方は、「初めて聞いた」とおっしゃいます。なぜでしょうか。
それは、日本の建築基準法が、「ゆるい」ものでしかない、ことの表れだと私は思います。(この法のすべての条項がそうだとはいいません) 建築基準法が義務づけている耐震性は最低基準のものでしかありません。今回の大阪府北部地震と同程度の地震が来ても「倒壊しない」強度を義務づけているにすぎません。「壊れない」強度は義務付けられていません。また、耐震等級3だとしても、木造2階建ての場合、かんたんな壁量計算で認められてしまうことを、多くの方はご存知ではありません。無理もないです。元となる基準法がゆるいのですから。
今回の災害と自分の仕事を結びつけるのは不謹慎であることを承知で書きますが、すくなくとも、命を守る箱である住宅は、簡易計算ではなく、構造計算を世の中は必須にしてほしいし(もちろん構造計算をした、だけでは意味がありません)、日本じゅうの建築にたずさわる大人たちは、子供の命を、大人の不注意によって失くすことが無いようにしてほしいし、私もそうしていきたいと思います。
私のファイルに綴じてある、熊本地震のときの新聞記事です。基準法に適合するだけでは決して安全とはいえない実例を示しています。